五十肩について
主に、四十代から五十代で現れる肩の痛み、肩関節の可動域が狭まくなる症状を俗称して言いますが、必ずしも発症年齢が限られているわけではありません。
症状の経過
① 急性期
症状:腕を少し動かしただけで激痛がはしり、痛みで夜も眠れないくらい強い炎症がおきている状態。時には首や腕にも痛みが生じます。
治療:この時期には無理をして腕を動かすよりも、まず、炎症を抑える治療を行ないます。
薬物療法(鎮痛剤の投与)や、冷却療法です。鍼灸も効果的です。
また、痛みのストレスで気持ちが落ち込まないように、いずれ治ると前向きな気持ちで構えることも大事になります。
② 慢性期
症状:激痛も治まり、動かさない限り、あまり痛みがでない状態に落ち着きます。急性期に安静にしていた分、軽度ですが、筋肉の衰えと腱の癒着が生じ、肩関節の可動範囲が狭くなっています。
治療:このまま何もせずにいると、可動範囲が狭まったまま元に戻らなくなることもありますので、可動範囲を広げる治療を行なっていきます。
無理をして動かすと症状が悪化する場合もありますので、慎重に痛みが出ない程度に、少しづつ可動範囲を広げていきます。
加えて、温熱療法を行います。筋肉の血行を促すことで、痛みを和らげます。鍼灸やマッサージも効果的です。
③ 回復期
症状:ほとんど痛みはおさまりますが、治ったと思って動かすことを怠ってしまうと、肩関節の運動制限が残る場合もあります。
治療:完治するまでは、油断せずに運動療法と温熱療法を組み合わせた治療を継続します。時間はかかりますが(時に1~2年)、中途半端に終わらせてしまわないように注意しましょう。
◆ 原因は明確ではありませんが、一因として以下のように考えられています
肩の老化現象に由来する炎症である。
骨・筋肉の老化現象によって、肩の関節周囲の炎症が生じやすくなります。
特に「回旋筋腱板」とよばれる部分が最も炎症を起こしやすくなっています。
- 回旋筋腱板 : 関節の最深部にあり、肩甲骨と上腕骨頭を覆うような形で安定させる重要な役割をしています。棘上筋【きょくじょうきん】・棘下筋【きょっかきん】・小円筋【しょうえんきん】・肩甲下筋【けんこうかきん】の4つの筋肉で構成され、上腕骨頭の上部、大・小結節と呼ばれる部分に腱となって付き、肩関節の回旋動作に大きく関わっています。(別名 ローテーター・カフと呼ばれる インナーマッスルです。
骨と骨に挟まれているため、特に腕の上げ下げの動きで摩擦が生じます。長年の摩擦が原因で、磨り減ったり、炎症を起こしやすくなっているのです。
さらに、周囲の滑液包や関節包も炎症を起こしやすくなります。